看護研究は医療的なものから心理的なものまで、扱われるテーマはさまざまですが、その対象となるものも人や病気など多様です。そして、それらを研究する場合には必ず「倫理的配慮」が求められます。研究内容や要素を決めるうえで、この倫理的配慮を欠かしてはいけません。たとえば、患者が抱えるストレスやリハビリ内容をテーマとして取り扱う場合は、その患者のプライバシーを侵害していないかは配慮が必要です。個人の名前を控えることはもちろん、患者の入退院について記載する場合は明確な年月日は記さないなど、研究対象者が特定されないような配慮は当然必要になります。そして、個人情報を決して侵害しないと説明したうえで研究の対象者とさせてもらうことは、あらかじめ対象の患者にも伝えておきましょう。このように匿名性と秘密を保持できることが確約されてはじめて、研究テーマとして取り扱うことができます。また、すでに研究されているテーマを繰り返し研究する場合も、自身の研究のオリジナリティや研究背景を明らかにして、差別化を図ることが倫理的にもよいとされています。冒頭で既に類似した研究がなされていることは明記しておき、そのうえで自身の研究の独自性をアピールするとよいでしょう。研究を公表することによって、先行研究者や患者に負担や不利益がないことは必ず配慮しなければなりません。このような倫理的配慮が十分に取られた研究こそ、本当に役に立つ有用な看護研究といえます。